トータルリコール 感想と考察 夢と現実の曖昧な境界線

SF

トータルリコール

キャラクター

ダグラス・クエイド

火星へ強い拘りを見せる男。

ローリー

「現実」におけるダグの妻。

メリーナ

「夢」の中のダグの恋人。

リコール社

記憶を売る会社。

あらすじ

夢と現実の区別はあるのか。
SFの巨匠フィリップ・K・ディックの小説「追憶売ります」を実写化した作品。

ネタバレ

笑えるグロさ

グロテスクな場面はCGは使わず(技術的に使えない)全て人形です。
精巧に作られており結構グロい。
でも気持ち悪いと感じるより、なんか笑える。あまり気持ち悪さを残さないための工夫なのか、当時は本気でやってこの出来なのかは分かりません。

火星の無酸素状態へ放り出されたダグは血液が沸騰(無重力下だと圧力が低下し水の沸点が下がります)して眼球か飛び出していくんですが、ぎりぎりのところで酸素が供給されて一命を取り留めます。
あそこまで顔面が崩壊したら生きていないか、重症です。
しかしダグは元に戻ると元気いっぱい。

他にも火星へ入星手続きの時、おばさんに変装した時のダグの気持ち悪さ。
ロボットに切り替わるまではダグの変装した姿をでかいおばさんが演技するんですが、結構迫力あって笑えます。
血液の沸点シーンとおばさんの演技だけで見る価値ありですね。

この状態で生き残れるのおかしくないですかね。


死んでいなきゃおかしい。最低でも顔がぐちゃぐちゃになっているはず。

この役者さんも怪演でした。
途中から人形に変わりますが、それまでは本当に不気味で気持ち悪かった。

これは人形ですね。

これは笑いましたね。
こんなでけぇの鼻の穴から出るわけねえだろw

夢と現実の曖昧さ

ダグの体験が現実であるか夢であるかは鑑賞者がどう思いたいかにもよるかと思いますが、定説ではダグは夢を見ていたとのことです。
理由としてはまず、夢を見る前に訪れたリコール社の営業がダグに話していた内容と火星での内容が同じであること。
ダグが夢につけたオプションがそのまま現実に現れていること。またリコール社の社長が直接ダグの元に現れ説得していること、キスシーンでホワイトアウト(夢から覚めて瞼から光が差し込んだという表現)することが挙げられます。

ホワイトアウト。火星の雲間から太陽光が差し込む演出。
やや不自然ではありますね。意図的に見えます。

だとすればダグはどこから夢を見ていたのでしょう。
彼は始めから火星への憧れをもっていました。
冒頭にうなされていた夢の中に出てきたメリーナと火星は何だったのでしょうか。
ダグが劇中にリコール社を訪れたのは二度目だったのかもしれないと思いました。

ここからは私の考えです。
彼は一度リコール社で火星の記憶を植え付けていた、しかし彼はその夢を現実だと誤認し混乱。
統合失調症患者のようになってしまった。
リコール社の措置よって一度植え付けた記憶を取り除いたものの、その残留物が冒頭の夢を見せていた。

ローリーがダグが火星の話をしたりテレビを見ることを嫌っていたのはダグに現実を見つめさせるためだったのではないでしょうか。
しかし妄想に執りつかれたダグはもう一度リコール社へ向かいます。
リコール社の受付と営業の微妙な反応は明らかに意図的で意味深です。

この受け付けはダグを見た後少しバカにしたような笑みを含みます。
指に塗っていたマニキュアはダグがオフィスに入る直前に青から赤色に変化します。何やら意味ありげ。

火星行きを希望したダグに渋い表情を見せ土星行きを勧めます。

もし夢に執りつかれた妄想狂だとするとダグはかなり悲しい男です。
ダグはリコール社でもう一度記憶を買いあのキスシーンの後、目が覚めるるわけです。
リコール社の夢を見る機械の上に座って満足げなダグ。しかし何もかも嘘だと告げられるのです。

そしてもう一人悲劇を味わうのはダグの妻ローリーです。
彼女は夢の中でダグに敵だと断罪されたのです。
現実へ戻ったダグは彼女を妻だとは認めないでしょう。
リコール社最大の被害者は妻のローリーかもしれません。

夢とは

夢について考えていきたいと思います。
夢は「胡蝶の夢」といった説話が昔からあるように、人類を悩ませる不思議な現象です。

胡蝶の夢を要約すると夢は夢から覚めたときにそれが夢だと気がつく。
果たして今生きている現実は本当に現実なのだろうか。
こんな感じです。

奇妙な夢を見ていたのに夢の中にいる間は奇妙だとは考えない。
それが夢だと気がついたのは夢から覚めた時だった。
誰にでもある経験だと思います。
夢を見ている間はそれが確かな現実だと感じるわけです。
だとすると、今現在も夢を見ているのかもしれません。
それも夢から覚めてみると奇妙極まりない夢。
突然夢から覚めてリコール社の椅子の上に座っていたっておかしくはありません。

夢と言う主観的な体験の中でそれが夢であるという客観的な証拠を見つけることはできません。
そして現実と夢の区別は非常に曖昧です。夢は主観が決定します。
だとすれば今のこの現実が本物である証拠も夢である証拠も見つけられないのです。
今生きている世界が夢であるか現実であるのか区別ができない、そして夢は主観が決定しているのならこの世界を私達の意思で自由に変えられる確率もかなり高いのではないでしょうか。
できないという潜在意識が主観的現実を制約しているのかもしれません。

感想

夢を扱う映画で面白いのはインセプションとパプリカ。
2つに共通するのは果たして夢とは何か、現実とは何か。

そしてGHOST IN THE SHELLは記憶を改竄できる世界における、自己の本質とは何かについての哲学を最高のアクションアニメーションで描いています。

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