攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 笑い男事件とスタンドアロンコンプレックス 考察

アニメ

スタンドアロンコンプレックス現象

攻殻機動隊アニメを全て見たのでまずはSTAND ALONE COMPLEXについて考察してみます。

キャラクター

アオイ

最初のセラノ社長誘拐、警視総監暗殺予告事件の犯人。
企業脅迫など他の事件には関与していない。

笑い男事件

セラノ社長誘拐事件を発端とする一連の事件。

考察

笑い男事件

真の笑い男のオリジナルはアオイががネットで発見したあるメール。
そのメールには電脳硬化症の治療法として確立されていたマイクロマシン療法に全く効果がないこと、それにも拘らずマイクロマシン企業への多額の公的資金が投下されそれらの企業を潤わせていること、加えて本来電脳硬化症には「村井ワクチン」という効果的な治療法が存在するが黙殺されているという事実が記載されていたのです。
無意味な治療に高額の治療費を払わされ死んでいく電脳硬化症患者に同情し義憤に駆られたアオイはセラノ社長を誘拐し、上記の事実を公の元に晒そうと行動しました。

セラノ社長を誘拐し議論をかわしながら他の事実も知りました。
「村井ワクチン」が黙殺されたのは今来栖と村井の個人的な因縁が関係していたのです。
今来栖と村井は電脳硬化症根絶を目指す友でありライバルでした。
しかし今来栖は村井に成果で先を越され、村井の「村井ワクチン」に嫉妬しました。
厚労省の許認可の責任者を務めていた今来栖はその「村井ワクチン」をに正式な認可を与えず村井の成果を握りつぶしました。
しかし当の今来栖は電脳硬化症を発症「村井ワクチン」を使用していたのです。

セラノ社長の無責任な行動と説得に応じない姿勢に業を煮やしたアオイは朝のニュースの中継電波をジャック、拳銃による脅迫でセラノ社長に真実を告げさせようとしました。
しかし失敗。ここまでがアオイの起こした犯罪です。

解決したかに見えたセラノ社長誘拐事件にはもう一つの真実がありました。
この誘拐の直後にアオイではない何者かがセラノ誘拐を利用し身代金を要求していたのです。

そしてこの事件の直後からマイクロマシン企業への脅迫が開始されました。
電脳硬化症に無力なマイクロマシン療法によって政府から資本を投下されていた企業です。

彼らはマイクロマシン療法の真実が暴かれるのを恐れ非公式に企業脅迫犯へ身代金を払っていました。
そして彼らは嵌められたのだと気がついたのです。
マイクロマシン療法が認可された企業はその瞬間にその弱みを国に握られてしまったのです。

この企業脅迫事件の黒幕は現政権の幹事長、衆議院議員である薬島幹事長。
彼はこの事件を収束させる代わりにマイクロマシン企業に多額の献金を要求しました。
その金額はマイクロマシン株の株価を元に戻すのに投入された資本+彼への献金という莫大な金額です。
しかしセラノ含むマイクロマシン企業は背に腹は代えられぬと要求された献金をしました。
加えて薬島はマイクロマシン銘柄の空売りを行うことで更なる利益を得ていたのです。
その資金を元手に薬島は政界での影響力を確立したのでしょう。

アオイのセラノ社長誘拐は薬島の陰謀に利用されていたのです。
始めからマイクロマシン企業を脅迫するという構想はあって、ちょうどよくアオイが事件を起こしてくれた、という感じだと思います。

これらは結局9課とアオイの手によって暴かれたのでめでたしめでたしです。

実体を持たない巨大な意識

攻殻機動隊のスタンドアロンコンプレックス現象についての考察です。
このアニメは表向きは笑い男事件の解決ですが、その本質はスタンドアロンコンプレックス現象にあります。
結論から言うとそれは人類から発生し、ネットワークを介して成長した実体の存在しない人類から分離された意識です。
人類という下部構造の上に形成されたもう一つの世界の意識。
例えば宗教や資本主義といった思想や宗教です。
これらは開発された時の本来の目的を離れ成長し人類を支配しています。

MIMEという言葉やリチャード・ドーキンス、ジム・ラヴロックという名前が挙がっていたことからも彼らの思想の大きな影響を感じさせる話です。

利己的な遺伝子 40周年記念版


地球生命圏―ガイアの科学

彼らは物理的な制約に囚われず、地球というシステムや言語、思想といった形のない体系の中の生命体を想像しています。
興味のある方は読んでみてください。今までの築いてきた常識を破壊し生命や世界という制約は私達が勝手に作り出していることが分かるはずです。
様々な現象の相互作用が世界であり生命であると現実の認識させてくれます。考えを深めていけば私達の住んでいる世界は物理的な存在ではなくある意味錯覚であり、宇宙という現象の刹那の姿であるという結論に達すると思います。

閑話休題。
例え話をします。
世界中の人々が認知できるほど大きな事件が発生しました。
その事件は賛否が起きて、それらの評価はインターネット上に積み重なっていきます。
多くの意見の中には共通する部分が多く存在するはずです。
それらの部分は積みあがれば積みあがるほど強固な意見として認識されるようになるでしょう。
その時共通性の少なかった細部は情報の海に流され意味を成さなくなり、結果消えてなくなります。

インターネットに形成されたその人類の総意の共通部分は今度は何の意見も持たない個人へと逆流を始めます。
攻殻機動隊では「動機無き者達」と表現されています。信念を持たない彼らはそれらの思想に対抗する抵抗力がないためより強く心を支配されていきます。
「動機無き者達」は媒介者となりその思想をどんどん世界に積み上げていきます。そしてその思想はより強固な絶対的なものとなり、いつしか固有名詞が与えられ現実へ姿を現してくるはずです。
個に対する感染力、支配力が強く利用価値の高いその思想は時に悪用され、元々の理念や理想が失われるうちに人類の総意であった考え方とは乖離し始めます。

宗教は最初は秩序を維持する為に最低限の倫理やルールを記した教義だったはずです。
強姦はするな、姦通はするな、牛を食すなら衛生面に配慮しろ、貧しい人は助けろ、酒は飲み過ぎるな、偶像崇拝は教義を個人の利益にする行為だから禁止などなど。
しかし人の脳から脳へ伝播する過程で様々な思想と混ぜ合わされ、エラーを繰り返しながら変化を遂げていきました。
争いをなくすために作られたはずが争いの原因を生むという全く異なる変化を遂げるのです。
まるで遺伝子が複製のエラーを積み重ねた結果、別種の生物へと変貌するようにです。

マイクロマシン業界の嘘を暴きたかったアオイの思想は様々な人々の脳に複製される過程で進化し、より強力な感染力を持ち、暴力というアオイの思想と根本から異なる別種の思想へと変貌していたのです。

私達が信奉している資本主義の教義は果たして私達の制御下にあるでしょうか。
それは俯瞰して見ることが出来ないほどに巨大で入り組んだ構造をしていて全体像は掴めません。
しかし資本主義はまるで意志を持っているかのように振舞い邪魔な思想を駆逐しながら現実世界への支配力を強めいるはずです。

現世を生きるための宗教が人に自爆テロへの疑問を抱かせないように、既に資本主義は本来の姿を失い人類を破滅に向かわせているのかもしれません。

攻殻機動隊をもっと理解するために

攻殻機動隊で出てくる「MIME」や「ガイア理論」。
「人形遣い」や「スタンド・アロン・コンプレックス」、「個別の11人」。
下記の本を読めば攻殻機動隊の根底に流れる本質が理解できます。

攻殻機動隊の原点

攻殻機動隊の原点。
これを読まずして攻殻機動隊は語れない。

アニメ 攻殻機動隊
スポンサーリンク
himazinをフォローする
私の頭の上の消しゴム

コメント

タイトルとURLをコピーしました