言の葉の庭
キャラクター
秋月孝雄
15歳の高校生。靴職人を目指している。
雪野百香里
27歳。生徒によるいじめと孤独に苦しむ。
あらすじ
歩き方を忘れた大人の女性と歩き方に悩みながら前へ踏み出す少年の出会いと別れを描いた作品。
ネタバレ
考察
雨の魅力
雨の日っていいですよね。
私は学生時代に校舎の窓から雨の日はボーっと運動場を眺めるのが好きでした。
灰色の風景と雨が地面を跳ねる音。
ホワイトノイズって言うんですかね。
作業中や眠れない時に聞くととても落ち着きます。
本作では最初は激しかった雨が二人の気持ちが近づくにつれて変化していきます。
始めて雪野の裸足に触れる場面や二人が喧嘩する場面では雨が彼らの心を表現する重要な役割を果たしています。
音と映像の拘り
新海誠監督は光の表現や細かい音などの細部にこだわりますね。
本作でも鉛筆と紙のこすれる音、雨と風に揺れる枝葉など異様に拘っています。
美しいです。
リアリティーを追求していますが、実写とも違って現実の綺麗なエッセンスだけを抽出しています。
だからこそ際立って美しく感じるんだと思います。
短歌
鳴る神の少し響みてさし曇り雨も降らぬか君を留めむ
雷でも鳴ってくれればあなたを引き留める口実になるのになあ。
という意味みたいです。
鳴る神の少し響みて降らずとも我は留まらむ妹し留めば
雷なんて鳴らなくても君がそう思うのならここに留まるよ。
上記の歌に対する返歌です。
クライマックス
私はね、あの場所で一人で歩けるようになる練習をしていたの。靴がなくても。
だから?
だから、今までありがとう秋月君。
椅子に座り床に座る孝雄を見下ろし諭す雪野。
激しい雨の中、雪野の部屋を去る孝雄。
鳴る神の少し響みてさし曇り雨も降らぬか君を留めむ
雷なんて鳴らなくても君がそう思うのなら…
歌を思い出して雪野が孝雄を追いかけて部屋から飛び出します。
彼女は裸足です。雨は激しく降っています。
階段の踊り場で待っていた孝雄と向かい合った場面では孝雄が下、雪野が上でした。
しかし孝雄の気持ちを聞いた後、雪野は一気に階段を駆け下りて孝雄の元へ。
裸足で孝雄を抱きしめます。
そして同時に大雨は一気に晴れ渡っていきました。
辛い経験をして立ち止まってしまった雪野と歩き方を迷っていた孝雄はこの出会いによって別々の道を一緒に歩き始めました。
雨、裸足、孝雄と雪野の構図など少し分かりにくい表現がされていますが、確かな意図を感じました。
感想
「15歳生徒と27歳教師の恋愛」と文字にすると気持ち悪いではありますが、新海誠作品で最も好きではあるんですよね。
上記の字面にちょっと嫌悪感を引きずってしまう人も多そうです。
仮に男女が逆だった場合批判されていてもおかしくありませんよね。
この関係性は一線を越えると犯罪ですので。
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