マイノリティー・リポート
キャラクター
ジョン
犯罪予防局の捜査官。
6年前に息子を失い薬漬けに。
ラマー
犯罪予防局の局長。
アガサ
3人のプリコグの中で最も強力な能力がある。
アプリコグ
予知能力者。3人の意識を繋いで未来余地を行う。
ダニー・ウィットワー
司法省調査官。
あらすじ
プリコグを利用した犯罪予知システムが構築され都市部では犯罪は無くなった。
しかし犯罪を防ぐ代償に街の住人たちはあらゆる場所で網膜スキャンを行われていた。
監視社会で犯罪予知の捜査官をしていたジョンはそのシステムにより自らの犯罪を予知する。
しかし身に覚えのないジョンは逃亡。
ジョンは逃亡中にプリコグによる予知システムの欠陥とそれを利用した犯罪に巻き込まれていたことを知る。
ネタバレ
考察
犯罪のトリック
ラマーの使ったトリックはまず初めに殺しを何者かに依頼、しかしその犯罪はプリコグにより予知され未然に防がれます。
ここまでが下準備。
ラマーはその後殺しを依頼した人間と全く同じ服装、手口、場所で殺人を行います。
勿論それはプリコグにより予知されるのですが、以前に予知した映像と似通っているため人間がそれをノイズと判断し、その予知を破棄してしまいます。
ただのヒューマンエラーですが、ラマーは人間の心理とシステムの裏をかいた方法で殺人を重ねていきます。
決定論の矛盾
本作では基本的にアクションとラマーの犯罪トリックに重点が置かれていて決定論的な矛盾はあまり描かれてはいません。
決定論とはある時点のすべての情報が分かっていて、その相互作用を計算できる能力があるのなら未来の予測は一つしかありえない。
つまり宇宙の誕生時の原子の相互作用から現在は予測できるというものです。
偶然の入り込む余地のある確率的決定論というもののあるようです。
ジョンはプリコグの予知を見て行動を起こしました。
幸い彼は殺人は行いませんでした。
しかしもし殺人を犯したなら、原因はプリコグの予知になります。
つまりプリコグが未来を予知しなければ殺人は起こらなかったということになり矛盾してしまうのです。
決定論と自由意志
この世が決定論であるとするなら、自由意志も否定されます。
生まれた瞬間からどんな職業に就き、どんな人と恋に落ちるのか、全て決定されています。
今間違いなく好きだと感じているものも嫌いだと感じているものも全てそうプログラムされているに過ぎません。
この物理宇宙は決定論的なのか確率論的なのか。
現在は量子力学の観点から確率的だとされているようです。
しかし科学が進歩し人類が認識していなかった変数も計算に組み込めるようになるとやっぱり決定論だったとなるのかもしれません。
決定論だったとすると、先述した矛盾も内包してしまうので違うかなと思いますが。
本作ではその辺の議論は曖昧で知的好奇心をくすぐられるような表現はありませんでした。
マイノリティ・リポート、プリコグの欠陥
プリコグの予知は不完全で故にマイノリティ・リポートという欠陥を内包していました。
ジョンの事件をきっかけにプリコグという役割を解かれてアガサ達プリコグは自然の中にある山小屋で人間らしい生活を送るようになっていました。
きっと未来は予測不能だと認められたんでしょう。
自由意志というものは否定できないという結末でした。
少し唐突感があります。
感想
ディストピア的な世界観よりはトム・クルーズのキレのあるアクション映画でした。
フィリップ・K・ディックの「少数報告」が原作のようです。
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」のブレードランナーや最近だとHBOのドラマシリーズで短編もやっていますね。
SFファンとしてはどんどん映像化してほしいと思います。
「昔はこんな世界こねぇわ」と思っていましたが、AIやSNSなどのネットワークの発達により他人事ではなくなっている気がします。
スノーデンがNSAが全世界の電波を傍受しているという犯罪を告発してくれていますしね。
ツイッターでのバイトテロも監視社会の序章だと思えば納得がいきます。
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タイムパラドックスについて知りたい
タイムトラベルについて書かれています。
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フィリップ・K・ディック短編集
マイノリティ・リポートは短編を映画化したものです。
邦題は「少数報告」。
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