トランセンデンス
あらすじ
量子コンピューターを使い人工知能を研究するウィル・キャスターとその妻エヴリン。
しかしその途中で人工知能の開発に反対する過激派組織RIFTの襲撃を受ける。
最愛の夫の寿命が迫り失意のエヴリンは夫の意識を量子コンピューターPINNにアップロードする決意を固めた。
キャラクター
ウィル・キャスター
量子コンピューターに人格を持たせる研究を行っていた。
エヴリン・キャスター
夫と共に人工知能を研究していた。
PINN
量子コンピューター上で動く人口知能。
ネタバレ
考察
ナノマシン
ウィルはその強力な計算能力を利用しありとあらゆる難問を解決していきます。
そして生み出されたのがナノマシン。
ナノマシンは大気を漂う極小の自己複製する機械です。
時に結合することで大きな計算能力を生み出し、またあらゆる構造を模倣し作り出すことができます。
人間の体に注射すれば体内で様々な形に結合、体の器官を模倣し強化することで超人的な怪力と治癒能力、知能をもたらします。
未知への恐怖
この作品でたびたび登場する言葉です。人は未知を恐れます。
世界中がまだ閉じられていた時代、大きな戦争がありました。
勿論資源の奪い合いであり経済戦争です。
しかしそれを踏み切らせたのは無知ゆえの傲慢さと未知なるものへの恐怖だと思います。
白人の築いた西洋諸国にしてみればアジアの文化は馴染みがなく、奇妙で非合理的な部分が多分にあったでしょう。
それは文化の成り立ちを知らず、一つの西洋的な視点に立って解釈しようとするからです。
彼らは当時のアジアを誤解し恐怖しました。
トランセンデンスでもPINNにインストールされたウィルがやっていることを人間は理解できません。
人間の視点で捉え当てはめてしまうのです。
ウィルを良く知っており、コンピューターにも明るい友人マックスですら、新しい彼を否定します。
どこかで壊れてしまった、危険だと。
無知の人間の目にはウィルの行動は全て危険に映ったのです。ウィルは人類に対する敵意などナノマシンほども持ってはいなかったにも関わらず。
彼はただひたすら、妻のエヴリンを愛したかった愛してほしかった。
もう一度抱きしめたかったのです。
ウィルの苦悩
しかしウィルの意志を妻のエヴリンですら死の間際まで理解してくれません。
彼の作り出すテクノロジーを気味悪がります。
体温、呼吸、心拍といった生体機能のすべてを感受できるウィルにはエヴリンの心が見えます。
エヴリンは心を覗かれ激怒します。そして彼女もまたこれはウィルではない、どこかで壊れてしまった。そう思い込んでしまうのです。
強すぎる力は触れるもの全てを壊してしまう。
ウィルの苦悩は続きます。彼は仲間だったはずの人間から攻撃を受けます。
無知な人間にとってウィルは脅威なのです。
その攻撃は生き返った彼と妻エヴリンの命を奪います。
ウィルが本当に守ろうとしたもの
それは妻の持っていた崇高な理想でした。
エヴリンは彼女たち夫婦が作った人工知能により医療問題や環境問題を解決しようと試みていました。
それは生まれ変わる前のウィルが生まれ変わってからも守りたかったエヴリンの夢です。
ウィルが作り出した人格を乗っ取り気象を操るナノマシン、それは人間への敵意の表れだと捉えられました。
しかし本当はエヴリンの愛した綺麗な地球を取り戻し、人々を困難から救うために開発されたのです。
ウィルは少しも変わってなどいなかったのです。
ただその超人的な力を駆使しエヴリンと彼女の愛した世界を守ろうとしただけなのです。
感想
意識をコンピューター上で走らせる。
きっといつか開発される技術なんでしょう。
あまり評価は高くなかったので期待していなかったからかもしれませんが、かなり面白かったです。
なによりウィルの本当の気持ちを知ってしまえば、彼の悲しい境遇に同情せざるを得ません。
ウィルはただエヴリンを抱きしめたかった。
人類はナノマシンを生み出した時にその役目を終えて無機的な生命体にとって代わられるんでしょうね。
強力なAIとナノマシンがあれば惑星レベルの物理的な環境は思いのままに変えられてしまいます。
そして無機的な生命体の役割は次の生命体、エネルギー生命体へと受け継がれる。
時空を超越し思考するエネルギー、その次はなんですかね。
宇宙の真理を解き明かす生命体は一体どんな姿をしているのか。
きっと私の想像の及ばないものだと思います。
もう既にいるのかもしれませんよ。
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