今夜、ロマンス劇場で 感想と考察 切ない純愛物語

エンタメ

今夜、ロマンス劇場で

キャラクター

牧野健司

主人公。趣味も仕事も映画。
ロマンス劇場で廃棄の印の押された映画の中の美雪に恋をする。

美雪

白黒映画のヒロイン。役者は既に他界している。

成瀬塔子

映画会社社長の娘で健司に想いを寄せる。

山中伸太郎

健司と同じ映画会社で同じ夢を持つ。塔子に想いを寄せる。

俊藤龍之介

スター俳優。気障で嫌な奴かと思いきや本当はいい奴なのかもしれない。
北村一輝はほんと好き。サイコ、三枚目なんでもこなす役者。

あらすじ

健司はロマンス劇場で毎日同じ映画を観ていた。
ある日映画館に落雷があり、停電から元に戻るとそこには白黒の女性が。

ネタバレ

考察

触れれば消えてしまう、それでも抱きしめてほしい

映画から出てきた美雪は触れると消えてしまいます。
王道のラブストーリーで手垢のびっしりついた設定ですが、やっぱり王道は面白い。
腕がはさみになっているシザーハンズも愛しているのに手がはさみ故に触れることができません。
それが切ない、それが悲しい。

銀杏BOYZの曲で「駆け抜けて青春」というものがあります。
ジュディマリの「YUKI」がこの曲に参加し歌うパートがあります。
その歌詞がぴったりでした。
「私は幻なの…あなたの夢の中にいるの…触れれば消えてしまうの…それでも私は抱きしめてほしいの…強く。強く。強く。強く。」

このパート以外はロック調の音楽なのでこの作品とは合いませんし好き嫌いはあるバンドですがぜひ聞いてみてほしい。
銀杏BOYZはうるさくて食わず嫌いする人も多いバンドだと思いますが、メロディーと歌詞に引き込まれます。

銀杏BOYZ – 駆け抜けて性春

サイドストーリーも切ない

健司は綾瀬はるか演じる美雪にも好かれているし、本田翼演じる塔子にも好かれている。
悔しい。こんな美人に好かれるなんて許せねえ。

まあそれは置いておいて。
この作品の本筋は健司と美雪の恋愛です。
しかし塔子も健司に想いを寄せており社長令嬢という立場を使って陰ながら彼をサポートします。
健気でお淑やかで品があって可憐で。映画のお姫様役で乱暴者な美雪より魅力的に見えました。

塔子に想いを寄せる伸太郎もいい奴です。
会社で少しだけ前を行く健司に塔子まで取られて。
悔しすぎる。下手をすれば人間関係が拗れて事件にまで発展しそうな状況です。

しかし
「詰まらない映画撮ったら許さねえからな」
こう言いながら健司の映画作成に協力すらする伸太郎の度量。
きっと将来は大監督ですね。

塔子は幸せになれたのかなあ。
伸太郎と幸せに暮らしたというのが理想だな。
伸太郎なら塔子を幸せにできるはずだ。

美雪は消えてなくなる

どこで美雪は消えてしまうと思いますか?
ここからネタバレになるので観ていない方は飛ばしてほしいです。

美雪がこの世界にやってこれたのは実は健司に会いたいという想いによってだったのです。
廃棄間際の彼女を唯一楽しそうに観てくれていた健司を映画の世界から美雪も見ていたのです。
触れれば消えてしまう、健司には普通の幸せな生活を送ってほしい。

健司は美雪のこの気持ちに気がつけずその態度に弱きなります。

そんな時、気障な龍之介に
「下を見ていたら、今しか見えないぜ?」
と言われました。
健司は覚悟を決めるのです。どんなに愛してもどんなに恋しくても美雪には触れず、その愛を貫くことを。
この信念を守り、美雪の傍に居続けることが美雪に対する愛だと。

結局美雪に初めて触れたのは老衰で意識が遠のき死を迎える間際でした。
最後に健二と美雪はお互いの体温を感じながら同時にこの世を去りました。

本当に綺麗なもの

健司と美雪は連想ゲームで作中頻繁に遊んでいました。
例えば「赤」というお題には「バラ」という感じですね。

死の間際の最後の連想ゲーム、お題は「綺麗なもの」。

二人で共有している思い出。
考えさせられました。

私は妻の誕生日などの記念日には何か喜ぶ「物」をプレゼントします。
確かに喜んでくれますが、考えてみれば大切なのは「記憶」ですね。

物質は死ぬ間際の恐怖や不安を拭い去るものではありません。
きっと死ぬ瞬間はみんな怖いと思います。
今までのどんな体験よりどんなに恐ろしい夢より怖い。
その時崩れそうな心を支えるのはきっとその人生で集めた思い出なんだと思います。
綺麗な思い出と美雪に触れながら、健司の死は恐怖よりも喜びで溢れていたことでしょう。

思い出を大切にしよう。

脚本に残した健司の想い

健司には書き残した映画の脚本がありました。
それは健司と美雪の思い出を描いたもので、結末は決まっていません。
健司にはその結末を書くことができませんでした。
きっと理想の結末を書いてしまえば、現実とのギャップに耐えられなかったのかもしれません。
この物語を終わらせたくなかったのかもしれません。

しかし死期が迫る病室で結末を書くことを心に決めました。
健司と美雪の結末を自分で決めなくてはなりません。
どんな結末にもできます。

結末の意味

一輪のバラを手に健司は美雪を迎えに行きます。
そこにはこれまでの人生で関わった人達が彼らを祝福してくれています。
手持っていたバラを美雪に手渡すと、そのバラを中心に白黒の世界は綺麗な色で彩られていきます。

白黒の世界でも愛があればそれは鮮やかに美しく輝いて映る。ということなんでしょう。
この愛に出会ったとき、わざわざ色なんて着けなくても既に二人の世界は鮮やかに輝いていたのです。

感想

普段SFやアクションしか見ないんですがなんかタイトルとあらすじに釣られてみてしまいました。
SFといえばSFですけどね。

どろどろとした感じは一切ないさわやかな純愛映画でした。
最後は目が潤んでしまう程切ないです。

脇役たちの恋愛模様も気になるなあ。塔子と伸太郎はその後どうなったんだろう。

昔、学生の頃聴いていた銀杏BOYZを思い出せたのも良かった。
記憶の片隅で忘れされれていました。
この年で結婚もしてると恋愛なんて忘れてる。
たまには純愛映画をみて昔を振り返り妻への気持ちを思い出すのもいいなあと思いました。


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