選択の科学 考察と感想 

勉強

選択の科学

あらすじ

人生は選択の連続で決まっていきます。
この本では人間という生物が選択をすることによって受ける影響や選択をする前に環境や経験から受ける影響を紹介しています。

合理的な戦略選定のための本ではありません。

ネタバレ

考察

選択肢があるという認識

ある残酷なラットの実験が紹介されています。
ラットをプールに放ち死ぬまでもがかせ、死ぬまでにかかる時間を測ります。
初めはただ死ぬまで泳がせるのですが、その場合個体差が大きく、20分で諦める個体もあれば6時間粘る個体も存在しました。

2回目はある学習をさせます。
短い一定の時間もがくことができればプールから採り出して休憩させるのです。
これを繰り返して生きるという選択肢が存在する認識を与えます。

本番では平均6時間ラットはもがき続けました。

次に老人ホームでの例。
老人ホームの入居者に同じ条件て生活させた。一方は選択肢があるように説明し一方はないように説明した。
6ヶ月後の満足度、死亡率は選択肢があると認識していたグループのほうが良かった。

実際には全く違いのない環境で選択肢はほとんど与えられていない生活していた被験者ですが、選択肢が存在するという認識だけでストレスが軽減されていたのです。

他にも人間の社会で決定権を持っている役職の方が低い役職の人よりも心臓や血管にかかる負担、ストレスが小さいという結果も出ていました。
ラットは実際にそんな選択肢がなくても生き残る選択ができるという事実を学習することで藻掻き、懸命に生きようとします。
老人ホームでも選択肢があるという認識だけで寿命が延びました。

必要なのは選択できるという認識なのです。

選択肢は多ければ多いほどいいのか

それでは選択肢はあればあるほどいいのかというと、どうやらそうではないようです。
選択肢がある基準を超えて増えてしまえば、人間はもはや選択そのものをしなくなるという結果が出てます。

それは人間は基本的に怠惰な性格だからです。
なるべくコストをかけたくない。
多すぎる選択肢を吟味するコストをかけるくらいならそもそも選択をしないのです。
例えその中に有益な選択肢があったとしてもです。

それにはある脳のシステムが関わっています。

自動システムと熟慮システム

脳幹は本能による欲求を、大脳は経験から得られる熟慮を担当しています。
作者は前者を自動システム、後者は熟慮システムと呼んでいます。

最初に登ってくるのは脳幹で発生した欲求ですが、大脳はそれを経験によって得られたデータと照合し最善と思われる実際の行動を決定します。

自動システムはその場その場の短期的な利益しか考えていません。
熟慮システムは長期的視野で物事を判断します。

先ほどの選択肢が多いという状況では自動システムはその中から答えを見つけるのは面倒だと判断します。
しかしその選択肢の中から答えを選ぶのは熟慮システムです。
選択肢を選ぶことをするのは熟慮スステムなのに、自動システムがその前に選択肢を払いのけてしまうのです。

この奇妙なシステム故にいかに熟慮システム、つまり長期的な視野に立てるのか?というのが選択のカギだと伝えています。
それには人間の習性、自動システムの特性を利用することです。

あえて選択肢を減らしてしまう。
そうすることでストレスが軽減され熟慮システムを呼び出すことができるのです。

環境による選択の違い

個人主義なのか集団主義なのか、宗教などの違いによっても選択に対する認識の違いがあります。
この本の中ではそれらの違いを多く紹介しています。

例えば集団主義的な日本人と個人主義的なアメリカ人にとっての合理性は全く違うのです。
子供の教育において何をしたいか、好きなこと、やりたいことを問うアメリカ人に対して日本人は何をすべきかを問います。

感想

選択というシンプルに見える行動は実はとても入り組んだ脳の処理、文化的な影響を受けています。
様々な視点から選択というものを捉え、その重要性を説いた本です。


選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (文春文庫)

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