大君の通貨 考察と感想 戦争と経済の関係

小説

争いの本質

この大君の通貨にはある視点に基づいた解釈で明治維新の始まり、倒幕を描きます。

あらすじ

「大君の通貨」はある視点に基づく明治維新
ことの発端は金と銀の交換比率。
外交官として来日していたハリスはあることに気がつきます。
日本の金と銀の交換比率が日本以外の比率と全く違うということです。

ネタバレ

感想

これは歴史小説です。
小説なので面白さに重点が置かれた本です。
学校で教えられたような歴史と違うじゃないかという感想と同時に争いの本質をエンターテイメントで描いており傑作だと思います。

考察

例えば金1gと銀5gが日本の比率、海外では金1gと銀10gだとします。
日本で銀5gと交換して金1g手に入れて海外へ持ち出せば、それは銀10gになります。
その銀を日本へ持ち帰れば、あら不思議金が2g手に入ります。
これを海外へ持ち出せば今度は20gの銀が手にはり、それを日本へ持ち替えれば4gの金が。

これを繰り返すことで幾らでも金を増やすことができるのです。
この事実を知った各国の外交官や商人はできる限りの努力で日本から金を流出させます。

そうなると日本国内の金の希少性が高まり、銀の価値が低下インフレを引き起こします。

真相は日本と海外の「銀貨」に対する考え方の違いです。
治安が良く安定していた江戸時代は幕府は一定の権威を持ち、市民と信頼関係を築いていいました。
市民と政府の争いの絶えない海外では通貨への考え方が違っていたのです。

詳しい内容は本を読んで欲しいのですが、要点はマネーゲームによって日本がどう変わったのか。

現代もマネーゲームに庶民が巻き込まれていますね。
通貨価値の変動なんてもろに生活に影響します。
日本人は「円」を信用しています。
現代の日本の通貨に対する考え方と比較して読むと少し危機感を覚えるかもしれません。
学校だと色んな理由による戦争の原因を学びますが、結局は資源の奪い合いなんですよね。

本音と建前

学校で教えている歴史は勝者の歴史、建前だけな気がします。
その建前は兵隊に死んでもらうためのものです。
権力者層に
「俺達の生活を豊かにするために死んでくれ」と言われて死ぬバカはいません。

そんな風に言われて大切な命を投げ出すのわけありませんね。
だからそれっぽいことを言います。
「欧米列強という鬼畜から植民地の国々を解放する手助けをして欲しい」
「八紘一宇の理念の元死んで欲しい、君たちの死は将来の礎となる」
「鬼畜米兵から家族や恋人を守ろう」
他にも
「アッラーの為の聖戦だ。邪教を倒すために飛行機でビルに突っ込んでくれ、あの世で報われるだろう」
こう言うのもあります。
「イスラム教徒の野蛮人共が大量殺戮兵器を隠して君達の家族や恋人、友達を狙っている。お願いだ、奴らを倒す手助けをしてくれ」

こんな風に崇高な理想を押し付けられ殺し合いをさせられていますね。
でも必ずその根底には資源、金の奪い合いがあります。

この世から貧しさが消えれば、幸せな暮らしを世界中の人々が享受するなら、誰もわざわざ死にません。

何もないからこそ、人生に未練を持たない。

資源の奪い合いと、それにより引き起こされる庶民の貧しさ。
この二つの関係性を分かりやすく描いたのが、「大君の通貨」です。

幕末の経済戦争、具体的には金の流出は物価の上昇をもたらしました。
石高制の江戸時代、禄を喰んでいた下級武士は食うに困った。自然と怒りは幕府へ向かいます。

一方で戦国時代、負けて地方で燻っていた大名達はこれを機会と捉えました。
下級武士に「日本を変えるぞ、出世のチャンスだ」と煽り倒幕を目指すのです。


大君の通貨―幕末「円ドル」戦争 (文春文庫)

この本のことは現代に起こり得ます。
インフレや通貨価値の暴落に備えましょう。


コメント

タイトルとURLをコピーしました