映画 イノセンス 考察と感想 バトーのアイデンティティー

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イノセンス

あらすじ

バトーは、生きた人形(サイボーグ)である。腕も脚も、その体のすべてが造り物。残されているのはわずかな脳と、一人の女性、”素子”(もとこ)の記憶だけ。

前回の考察を読めばバトーの抱える問題が少し理解しやすいかもしれません。

映画 Ghost in the Shell 考察と感想 
Ghost in the Shell あらすじ この作品はある事件から始まります。 警察組織に所属する主人公草薙素子は人形使いに記憶を改竄され、犯罪に加担させられた被害者と遭遇します。 彼の記憶の中の彼には家族があり、可愛い娘がいま...

キャラクター

バトー

この作品の主人公。全身を機械化したサイボーグ。
強引な捜査が売りの刑事。

トグサ

マテバを愛用し電脳化しているが、義体化はしていない。
家族があるので無事に帰りたがる。

ネタバレ

考察

現実の曖昧さ

私の好きなセリフ

「人間の認識能力の不完全さは、その現実の不完全さをもたらし」

深いセリフです。
認識できないのなら、それを認識しない者にはそれは存在していないのだし、幻覚だとしてもそれを感じる人にはそれは現実なのです。
この世界は主観こそが現実を決めている。

肉体を持たず、記憶を改竄できる世界に生きているバトーに自分が「本物」だという確信は存在しません。
ある日突然すべて「偽物」だと告げられて任務終了と共に廃棄される可能性すらあります。

ロクスソルス社の起こした事件の発端と経緯

ネタバレを含みますので悪しからず。

発端は人間に危害を加えることができないはずのアンドロイドが人間を殺傷する事件が多発したこと。
バトーと相棒のトグサが事件の究明に取り掛かります。
少ない手がかりを元に真相を求め二人はアンドロイドの製造元、巨大企業ロクスソルスへ向かいます。

そこで行われていたのはゴーストダビング。
人格の複製技術によって発展途上国で誘拐した幼い少女達の人格を機械へコピーしていました。
その過程で人格の所有者は死亡。コピーにより劣化した人格をアンドロイドが引き継ぎます。

同情したロクスソルス社の研究員が彼女達の為にOSに脆弱性を組み込みまました。
それを利用し誘拐された少女達が事件を起こしていたのです。
事件を起こせば警察が助けに来てくれる、幼さ故の自分本位の発想もあって殺人を繰り返していました。

バトーが犬を飼う理由

バトーは「ガブリエル」と天使の名を付けた犬を飼っています。
バトーはガブリエルへの餌をわざわざ遠回りして、いつも決まった店で買っています。
同僚に馬鹿にされるくだらない習慣です。
しかし記憶を改竄できるこの世界で、生身の体を持たず大切な記憶でさえ自由にできないバトーにとっては一見無駄に見えるこの習慣こそが、過去からの一貫性という彼のゴーストを肯定する手段なのです。

彼の孤独を癒し、彼のゴーストの存在を肯定する為に欠かせない存在を「守護天使(素子)」「ガブリエル」と呼ぶことにもバトーなりの理由があるのです。

バトーは人形である

少女たちを救出する場面、そこで印象的な場面があります。

バトー「犠牲者が出る事は考えなかったのか。人間の事じゃねえ・・・魂を吹き込まれた人形がどうなるかは考えなかったのか!」
少女「だ・・・だって・・・だって、私は人形になりたくなかったんだもの!」

全身をサイボーグ化しているバトーの義眼は無機質で感情を伝えることはありませんが、なんだか悲しい表情をしているような気がしました。
バトーの言う魂を吹き込まれた人形とバトーとを区別するのは一体何でしょうか。
少女のなりたくない人形とは、どんなものなのか。

バトーと人形を区別するもの、それは草薙素子への想い。警察をやめれば素子の記憶ごと消されてしまいます。
つまり記憶も体も警察組織に所有されているバトーにとってはその曖昧な「想い」こそが彼のゴーストであり、存在の証なのです。

バトーを証明するもの

しかし今となっては、草薙素子はこの世界に存在すらしていないのです。
前作を見れば分かりますが、草薙素子はこの世に存在しません。
彼女はバトーの記憶、バトーの心の中に残されているのみです。
「この世に存在すらしない女性への愛」、その曖昧さ(不完全さ)だけがバトーのゴーストを証明しています。

「人間の認識能力の不完全さは、その現実の不完全さをもたらし」

もし、アンドロイドのセンサー並に正確な認識能力と記憶があれば、それはバトーを助けに来た守護天使を草薙素子と認識しなかったでしょう。

微かに草薙素子の要素を残しているだけで、別の生命体です。
彼女への想いを糧として孤独に生きるバトーには、彼女が存在しない「客観的」で「正確」な現実を生きていくことができません。

人間の認識能力の曖昧さ、バトーが存在できる理由。

バトーは、生きた人形(サイボーグ)である。腕も脚も、その体のすべてが造り物。残されているのはわずかな脳と、一人の女性、”素子”(もとこ)の記憶だけ。

クールな電脳戦

詳細は書きませんが、今作の電脳戦はクール。
疑似体験の迷路、簡単に説明すると同じ仮想現実をループさせ、そこに対象の電脳の意識を閉じ込めてしまいます。
他にもセキュリティーAIをいとも簡単に突破してしまう草薙少佐。
諜報戦のエリートであるバトーを欺く凄腕のハッカー。
電脳をハッキングし視界をジャック。視界からバトーが消えます。
アニメの電脳戦が好きな人にもおすすめできます。

前作では上海をモデルにしていましたが、今作もAIが使うOSのインターフェースが中国語であったり、押井監督の予言のようなものも感じてしまいます。

感想

前作Ghost in the shellの続編ですが、主人公がバトーというハードボイルドな刑事になっています。
文字通り続きなので前作を見ていないと理解できないかもしれません。
ただ、映像や台詞はそれ単体でも楽しめます。


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攻殻機動隊をもっと理解するために

攻殻機動隊で出てくる「MIME」や「ガイア理論」。
「人形遣い」や「スタンド・アロン・コンプレックス」、「個別の11人」。
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攻殻機動隊の原点

攻殻機動隊の原点。
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